差別化戦略なんて、中小企業が出来るのか?その3

追記:続、差別化戦略なんて、中小企業が出来るのか?を書きましたので、こちらも読んでみください。

前回は、差別化集中戦略を採ったとしても、価格競争と無関係でいられるわけではなく、どの程度差別化できるのかは、投入する資源の量に影響されるだろうから、そもそも弱者が簡単に採ることかできる戦略か?というところまで解説しました。

今回は、それでも弱者は差別化集中戦略を採るべきなのか?について、引き続き解説したいと思います。

いきなり結論から言うと、弱者は差別化集中戦略を採るしかないということになると思います。

なぜなら、対象とする市場で、市場シェア1位をとれない企業は、そもそもコスト集中戦略を採れないからです。(身も蓋もない理由で申し訳ありませんが・・・)

しかし、その2でも解説したように、差別化集中戦略に専念すればいいわけではなく、中小企業の場合には、差別化のために投入できる資源の量にも限りがありますから、価格競争にも一定の配慮をしておくというのが正確でしょう。

コスト集中戦略と差別化集中戦略とは、トレード・オフの関係(どちらか一方を選択すると、もう一方は選択できない関係のこと)にあるのではなく、その戦略の成果を最大限に発揮するには、どちらか一方を選択するのが良いという関係にあるので、現実的には、どっちつかずという会社が多いのです。

経営学の教科書のようにはいかないということですね。

ここで少し見方を変えてみましょう。

コスト集中戦略も、差別化集中戦略も、ともに競争に打ち勝つための戦略と捉えるのではなく、競争を回避するための戦略だと捉えるのです。


このように捉えると、コスト集中戦略は、他社が市場に侵入するのを、価格という参入防壁を使って阻止するという戦略であり、差別化集中戦略は、他社が市場に侵入するのを、価格以外の特異性による参入防壁によって阻止をする戦略ということになります。 

コスト集中戦略と差別化集中戦略は、参入障壁を、価格にするか、価格以外にするかの違いによる。

両戦略の違いは、参入障壁が、価格という普遍的なものによるのか、特異性という特殊的なものによるのかの違いになります。

そして、これらの違いは、その参入障壁の強さに影響してきます。

そのため、コスト集中戦略の場合には、その対象とする市場の範囲が比較的大きくても可能ですが、差別化集中戦略の場合には、その対象とする市場の範囲は小さくなってしまうのです。

それは、差別化集中戦略の場合、その対象とする市場の範囲が大きくなってしまうと、特異性の前提が崩れることで参入障壁が決壊し、他社が乱入して来てしまうということになるからです。

コスト集中戦略の場合には、安いという価値観は範囲が広がっても変わらないので、参入防壁の厚さは変わらない。差別化集中戦略の場合には、特異性という価値観は範囲が広がると希薄化するので、参入防壁の厚さも薄くなる。

つまり、差別化集中戦略の場合、対象とする市場の範囲を広くできないということになります。

しかし、よく見ると、ここに弱者が生き残り、勝ち抜くためのチャンスが埋まっているようにも、弱者が弱者のままであり続けなければならないという罠も埋まっているように見えます。

次回は、このあたりについて、視点を変えて解説していきたいと思います。