差別化戦略なんて、中小企業が出来るのか?その2

追記:続、差別化戦略なんて、中小企業が出来るのか?を書きましたので、こちらも読んでみください。

前回は、マイケル・ポーターの競争戦略の分類について、簡単な解説を行いました。

今回は、中小企業のうち、どのような企業がコスト集中戦略を採り、どのような企業が差別化集中戦略を選択するのかなどについて解説していきます。

尚、正確には、企業が扱う商品やサービスそのものだけでなく、これらに付帯するサービスや、これらから派生するモノも、競争戦略の選択をする場合の対象にすべきなのですが、話がややこしくなるので、企業が扱う商品やサービスそのものだけに限定して解説します。

 

まず、コスト集中戦略を採ることができる企業は、その対象とする市場のシェアが1位でなければなりません。(市場の特性により1位でなくても可能な場合もありますが、その場合でも、極めて上位にいなければならないでしょう。)

なぜならば、低価格でも利益を出すためには、いち早く他社よりも取扱量を増やして、どこよりも単位当たりのコストを引き下げなければならないからです。

大企業の場合には、他の市場で獲得した利益を使うことで、利益を度外視して差別化戦略を行うケースがみられますが、中小企業の場合には、短期的には利益を度外視して、コスト集中戦略を採れたとしても、中長期的には難しいでしょう。

そのため、その市場のシェアが1位(ないしは極めて上位)の企業でなければ採用できないと考えるべきです。

取扱量が増えると、単位当たりのコストが下がることを示した図

次に、差別化集中戦略を採ることができる企業は、その対象とする市場のシェアが1位(ないし極めて上位)でなくても可能と説明されます。

これらの戦略は、他の企業にはない特異性を武器として戦うことになるので、価格競争を回避できると考えるからです。

ですから、1位にはなれない企業(これより以下、弱者と呼称します。)は差別化集中戦略を採るべきだとされています。 

ここで、特異性≒付加価値を付け足すことと考えるならば、ある商品Aにαという付加価値をつけて、今までにない商品Bとして販売するというようなことも、差別化集中戦略になるでしょう。

商品Aを販売する場合には、市場シェア1位の企業が販売している価格と同じような価格でなければ売れませんが、商品Bならば、商品Aよりも高く売れる可能性があります。

(あくまでも、価格は販売者の言い値ではなく、市場メカニズムで決まるので、可能性と表現しています。)

 

でも、これって本当に価格競争を回避できたと言えるでしょうか?

 以下の図を見て下さい。

製品Aの市場から、製品Bの市場を、差別化により、切り取ってきたことを示した図

この場合の差別化集中戦略というのは、差別化というハサミで、もとの市場の一部を切り取り、切り取った市場をいち早く独占することで、価格に対する支配力を獲得する戦略と考えることができます。

そのため、他社が製品Bの市場に乱入してきたら、たちまち価格競争が発生します。そして、乱入を阻止できるのかは、どの程度、その特異性≒付加価値が模倣しにくいかにかかっています。

それに、顧客の視点でみた場合、差別化が不十分な場合には、製品Aと製品Bは競合関係にあるようにみるので、価格は無視できません。製品Bが高付加価値なものであっても、あまりにも製品Bの価格が高ければ、顧客は製品Aを選択するでしょう。

差別化というのは、顧客の視点から認識されることが前提となります。企業の側で、いくら差別化していると思っていても、顧客の視点を無視したものは意味を持ちません。

 

そして、どれくらい差別化できるかは、どのくらい差別化に資源を投入できるのかにかかっていると思います。

そうなると、差別化集中戦略というのは、そもそも弱者が簡単に採用できる戦略なのか?と疑問を抱いてしまうわけです。

次回、このあたりのことについて、もう少し深掘りしてみたいと思います。